前回の記事に書きましたが、2021年10月13日~10月17日の間、信越トレイルのスルーハイク(Section8途中撤退)に行ってきました。その際の装備を備忘録として残しつつ、将来海外のロングトレイルを歩く時はどういった装備が良いか考えてみました。
かばん
- OMM Classic32
- OMM Compressor pod
- OMM Go pod
- ワークマン ウェストバック
今回の長期山行の大きな課題として取り組んだのが、バックパックの小型・軽量化です。
私は今まで、テント泊山行というとオスプレーの52L(約1.5kg)のかばんを使用してきました。1週間程度の山行であれば重量も我慢することはできますが、夢である海外のロングトレイルを歩くとなると数ヶ月間ザックを背負い続けることになります。いかにストレスなく長期間歩き続けられるかが課題だと思い、今回はテストを兼ねて、信越トレイルでフレームレスの小型・軽量ザックを使用してみました。
使い勝手と収納力を向上させるためにCompressor pod(容量3L)とGo podを追加して使用しました。この2つを追加することで、Classic32のメッシュ部分と合わせてかなりの収納を確保することができます。
また、メイン気室の中をテント場に着いてから使用するものに限定することができたことで、休憩時にザックの中を開かなくて良くなりました。これは悪天候時にも行動を素早くできたり、中の荷物を濡らさなくて済んだりと、メリットが多いように感じました。
ウエストバックは山に登る時はいつも身に付けるもので、今は防水仕様のものを使っています。この中には携帯電話、行動食、ゴミを入れています。小物の携行にサコッシュがよく使われていますが、過重が肩の片側にかかること、バックパックを下ろさないと着脱できないこと、腕を上げ下げする動作や屈んだ時に邪魔になる、走れない、という点から私は使用していません。ストレスなく小物を持ち運ぶのはウエストバックが優れていると思います。
住
テント類
- finetrack ツエルト2ロング
- naturehike アルミペグ10本
- SOL エマージェンシーブランケット1人用
ザックを小型・軽量なものにしたことで、今まで使用していたダブルウォールの2人用テントは今回の山行には持っていけなくなりました。当初はステラリッジ1型を購入し、今回の山行に持っていこうと検討していました。しかし、ダブルウォールの2人用から1人用に変えたところで、自分の技術や経験が増えるわけではないと考え、未経験のツェルト泊を選択しました。
ツエルトは良品と聞いていたfinetrack製のものに即決。地面と接する部分も強度の高い生地が使われているわけではないので、グランドシートとしてSOLのエマージェンシーシートを使用しました。
ツエルト泊は初めての経験でしたが、良い経験となりました。自分の今のレベルならどの程度までツエルトで泊まる事ができるかを知ることができました。また、行動の目的が何かでツエルトかテントかを選択できるという自分の引き出しを増やすことができました。(私はロングトレイルにはダブルウォールのテントを選ぼうと思います。)
寝具類
- SEA TO SUMMIT Ember EbⅠ
- mont-bell シルクシーツ
- SOL エスケープヴィヴィ
- THERMAREST リッジレストソーライト(切断しショート化)
想定温度は低くても一桁代で氷点下に行くことは無いと思っていましたので、これらの装備にしました。Emberはキルトタイプの寝袋で体の背中側は空洞となっているモデルです。基本的にはエアマットとセットで使用するものですが、クローズドセルタイプのマットで使用しても問題ありません。(寝相の悪さなど、個人差があるかとは思いますが。)
基本は寝袋のみ。雨が降った時や寒いと時は、エスケープヴィヴィの中に寝袋を突っ込みます。
信頼しているサーマレストのマットは自分が長座でストレッチができる長さにカットしています。寝転ぶと、頭の先からお尻の少し下くらいまでの長さです。お尻より下はClassic32に付属しているOMMのDUO MATを使用します。
インナーシーツは無くても良いですが、若干潔癖気味の私はお風呂に入れなかった体が寝袋に接することに抵抗があるので、こちらも宿泊を伴う山行時にはいつも携帯します。
食
火器&クッカー
- PRIMUS エッセンシャルトレイルストーブ
- メルカリ アルコールストーブ
- EVERNEW チタンカップ400 FDRED
- LIXADA チタン製ふた
- LIXADA チタン製スポーク
- 野営具兵学校 風火蔵
- TOKAI ライター
- Ziploc スクリューロック730ml
- mont-bell カートリッジソックプロテクター
- EVERNEW ウォーターキャリー1.5L
- platypus ソフトボトル1L
- CAMELBAK ポディウム24OZ(710ml)
ルートの途中で下山して食料を調達することはできますが、今回は一週間分の食糧をフレームレスザックで運搬できるかのテストもしていたので、調理はせず、お湯を沸かすだけのシステムにしました。
ガスストーブとアルコールストーブは使い分けがあります。ガスストーブはザックのメイン気室に収納して、テント内で食事をする朝と夜に使用。アルコールストーブはザックの雨蓋に収納し、行動時のちょっとした休憩時に温かい飲み物を飲む時に使用します。昼ご飯で休憩を取らない私の行動スタイルにはこの組み合わせがマッチしていて気に入っています。
ジップロックのスクリューロックにクリマプレン性のカバーを装着してコジー代わりに使ってみました。それなりに効果はありましたが、「アルファ米が入っている袋」の方が使い勝手が良いという結論に至りました。ただ、袋状のものより、スクリューロックの方が食べやすいし、綺麗にしやすいといった利点はあると思います。
食料
私は、どうしても食事を我慢して軽量化する気にはなれず、食料はそこそこ多いほうかなと思います。これらの食糧のパッケージを剥がして、モンベルのお買い物袋に入れて携行しました。
朝と夜はスープにアルファ米、餅、マカロニを入れて食べ、昼は行動食とミルクティーでカロリーを摂取するスタイルです。
行動食は、献血に行ったときに貰える一本満足バーをストックしておいたものとオリジナルの行動食です。一本満足バーは昼食時に食べ、オリジナルのものは歩きながら都度食べます。ちなみにオリジナル行動食の中身は煮干し、アーモンド、くるみ、昆布、チョコ、グミです。
衣
行動中
- patagonia キャプリーン・ミッドウェイト・ジップネック
- MILLET ドライナミック メッシュ NS クルー
- finetrack カミノパンツ
- Smartwool ウール製靴下
- mont-bell サンダーパス上下
- ZAMST ふくらはぎサポーター
- mont-bell ストレッチショートスパッツ
- 手ぬぐい
長袖、長ズボンはまだ暑かったです。また、信越トレイルは長ズボンが効果を発揮するような山岳エリアが無いので、虫のいない時期であれば短パンで歩きとおせると思います。(今回苗場山まで到達しませんでしたが、過去登った時は苗場山では長ズボンの必要性を感じませんでした。)
今回初めて使用するスパッツに効果を期待していたのですが、トレランシューズを忘れたためサンダルで行くことになり、スパッツの出番はありませんでした。
ちなみに、サンダルはCHACOのものです。これで80kmほどの歩行距離でしたが、何不自由ありませんでした。信越トレイルはよく整備されていますし、やわらかい地面がほとんどなので、足へのダメージもありませんでした。
休憩時
- patagonia ナノパフプルオーバー
- mont-bell ジオライン長袖 中厚手
- UNIQLO ヒートテックタイツ
- GU マルチテックショーツ
- mont-bell ウール製靴下
- MOUNTAIN HARD WEAR ビーニー
これらをISUKAの防水袋に入れてました。
その他
- ソーラーランタン
- 日傘
- モバイルバッテリー(10000mAh)
- 保険証のコピーと補修キット
- 衛生用品(歯ブラシ、リップクリーム、日焼け止め、耳栓、ワセリン)
- 多目的タオル
- 携帯トイレと防水ゴミ袋
- ファーストエイドキット
- 浄水器
- トイレットペーパーとライター
- スコップ
これらをメイン気室以外の収納箇所に振り分けました。
あとはテント内での読書用に本を一冊。これが一番重かったかもしれません。読書家のみなさん、山行の際は電子書籍をお勧めいたします。
パッキング姿
斑尾高原ホテル出発時のパッキングが上の写真です。見た目はかなり醜いですが、メイン気室の中にサーマレストのマットを丸めて入れたくて無理していました。
結局この後、バランスが悪いのですぐにパッキングを変更しました。本体と雨蓋の間に挟めた食料をメイン気室の中に。メイン気室の中に入れていたマットを雨蓋の間に挟みました。マットの横幅がバックパックよりあるので、木に引っ掛けたりするリスクはありましたが、上のパッキングよりははるかに良かったと思います。
信越トレイルスルーハイクの装備を振り返って
- 数ヶ月に及ぶ長期の山行で無い限り、日本の山はGORE-TEX製の靴がよい
- ツエルトは寝具の水濡れが気になるので、ロングトレイルよりは行動型の活動に向いている
- トレッキングポールは2本が良い
- バックパックは40-45L程度のフレームありが良い
数ヶ月に及ぶ長期の山行で無い限り、日本の山はGORE-TEX製の靴がよい
海外のロングトレイルを歩いている人を見ると、多くが非GORE-TEXのトレランシューズを使用している。渡渉や泥濘を歩くことが日常のロングトレイルでは、濡れや汚れの不快感より足を湿気から遠ざけることの方が大事なのだろう。
今回、蒸れとは無縁のサンダルで歩きとおしてみて、「汚れを気にしながら歩くのは疲れる」と思った。当たり前の事なのだが、GORE-TEXのハイカットであれば気にせず歩けるところを、サンダルではやたらと慎重に歩かなければならない。いつもより筋肉を緊張させて歩くわけだから肉体的にも精神的にも疲れる。
また、日本は亜熱帯気候なので、森林限界以下の山々が多く、少しの雨でも地面のコンディションは悪くなりやすい。1日、2日の山行ならともかく、1週間程の山行であれば、なるべく足を清潔に保ちたいので次からはGORE-TEXのローカットをチョイスしようと思う。
ツエルトは寝具の水濡れが気になるので、ロングトレイルよりは行動型の活動に向いている
これは私の技術不足によるところが大きいと思うが、ツエルトで宿泊する場合は、寝袋等の寝具が濡れてしまわないかという心配がつきまとう。
ロングトレイルのような長期の旅になれば、1度寝具類が濡れてしまうと、その後の行程の多くに影響が出てしまう。ロングトレイルに挑戦する時は、テントが家であり、安心できる場所だと思うので、ダブルウォールのフレームありテントを選択しようと思う。
ただ、ツエルトはたった数百gの重さでそこそこ快適で安全に宿泊することができる。私の場合はトレイルランや1泊2日の山行等、行動することがメインの活動に使おうと思う。
トレッキングポールは2本が良い
私は今まで「トレッキングポールを使うなんて軟弱だ、足が疲れてしまうようなら鍛え直せばよい」と、思っていました。しかし、1週間近く山を歩くのは初めてだったのと、ツエルトで宿泊する関係から、初めてトレッキングポールを使ってみました。
感想としては、最高に良かったです。足の負担が減ったかどうかはさだかではありませんが、下りや泥濘を歩く際に威力を発揮しました。バランスを取りやすいという事が大きなメリットです。2本足で歩くより4本足の方が安定しているのと一緒でしょう。今回は結構足場が悪いところが多かったですが、トレッキングポールのおかげでほとんど転ばずに済みました。
また、私は運動する時によく肩のストレッチをするのですが、トレッキングポールが2本あると体重をかけたストレッチがすぐにできるので、疲れを貯めずに行動し続けることができました。
最悪足を骨折してもトレッキングポール2本と手ぬぐいやロープがあれば、松葉杖を作って下山することもできます。
バックパックは40-45L程度のフレームありが良い
この信越トレイルのためにバックパックを新調しましたが、歩いてみた結論、ロングトレイルの際は45L程度のフレームがあるバックパックを選ぼうと思います。
今回のバックパックでも行けるとは思いますが、食料を増やしたり、ダブルオーウォールテントを持っていこうと思うと40Lは容量が欲しいです。それに長い旅をすればするほど、当初想定していなかった出来事が起こる可能性があります。そんな時パツパツの容量のかばんより少し余裕をもったかばんの方が何かと対応できそうな気がするので。
水を5L以上運搬したり1週間を超える食料をパッキングしたりするシチュエーションでは、いかに軽量化を目指しても10kgはゆうに超えてくると思います。フレームレスザックではそれだと疲れるかなぁと今回初めてフレームレスザックを使って思いました。
今のところの第一候補はEXPEDのLIGHTNING45です。
おわりに
今回の信越トレイルは今まで使ったことが無かった道具をたくさん使ってみました。おかげで、やりたい活動内容にはどんな装備が自分には合ってるか考える良いきっかけになりました。それを早く試したくて仕方ありません。
これからも「やりたいことリスト」の実現に向けて、自分なりに試行錯誤しながら、楽しみながら、邁進していこうと思います。
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